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やる気のでる食事

「やる気の出ない人」に教えたい食事の知識
東洋経済オンライン

10月10日 6時0分|Yahoo!ニュース
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「日本人といえばコメ」と言われますが…(写真:ララ / PIXTA
何だか仕事にやる気が出ない。ストレスが溜まっている――。その原因は「食事」にあるかもしれません。『なぜ一流の人はストレスが溜まらないのか』などの著者で、TBSドラマ「ATARU」の医療監修も務めた精神科医の西脇俊二氏がそのメカニズムを解説します。

■もっと「食事」を大事にすべきだ

 私はこれまでに多くのビジネスマンを観察してきました。仕事を頑張るために多くの人は「能力」を重視します。能力を高めるために学び、スキルを身に付けていくことはすばらしいことですが、一流になれない人ほど能力を最大限に発揮する「環境作り」から目を背けがちです。特に「食事」についての知識が不足しています。

 「バランスの良い食事をとりましょう」と言われることは多いでしょう。ところが、そのように心掛けて食事をしているつもりでも、現代人が過剰摂取してしまいがちなものがあります。それは「糖質」です。知らず知らずに糖を摂取してしまう食品が多くなったので、自ら意識しなくても過剰な量を摂取しているのが現状です。

 糖の過剰な摂取は仕事のパフォーマンス低下につながりかねません。脳内で分泌される神経伝達物質にはセロトニンノルアドレナリンドーパミンなどがあります。私たちが安定した精神状態を保つためには、これらの脳内物質がバランスよく分泌されている必要がありますが、過剰な糖の摂取はそれを邪魔します。

 糖を摂取すると血糖値を下げるため、大量のインスリンが分泌されます。そのインスリンが自律神経を刺激し、「やる気・元気」のもとになるドーパミンの分泌量が低下。「なんとなく気分が晴れない」「やる気が出ない」などの「うつ」症状につながることさえあります。

 「糖質」の過剰な摂取が健康の問題だけではなく、メンタルに大きな影響を及ぼしかねないのです。たとえば昼食に糖質を多く含む炭水化物系の料理をたくさん食べると、午後の仕事のパフォーマンスに影響を及ぼすこともあります。そして仕事がうまくいかないからと、夜に居酒屋で大量のビールを飲んだらどうなるでしょうか。ビールにも多くの「糖」が含まれていますから、悪循環になりかねません。
現代人は動かなくなっている

 過去、昭和の時代では、家事は機械化されておらず手作業、仕事と言えば「歩く」などいつも全身を使う労働が多く、人間の体はエネルギーをたくさん必要としました。ところが現代は、電車、バス、自動車、の交通の発達で歩く量の減少、そしてパソコンに向かう作業や話すことが中心。「コメ」や「麺類」、「パン」などの炭水化物という「主食」の必要性は下がっているのです。「日本人にはコメ」という信仰も今の時代では思い込みに過ぎません。

 3大栄養素と言われてきた炭水化物、タンパク質、脂質も、それぞれの役割を見ると、アミノ酸に分解され体のあらゆる部分を作るタンパク質、体を形成する60兆個の細胞の、細胞膜の主成分となる脂質も欠かせません。

 しかし、糖質は体内でブドウ糖に分解され、エネルギーになるだけです。ただ、それだけなのです。車に例えればガソリンです。車に乗って移動する必要がないのに、現代人の私たちはガソリンを補給し過ぎなうえに、仕事のパフォーマンスを低下させ、メンタルにも大きな影響を及ぼしかねない厄介者なのです。

 優秀なビジネスマンの中には「糖質制限」「減糖」を意識して実践している人も少なくありません。まずは「減糖」を意識することが、糖が及ぼすスパイラルから脱却し、仕事で最高のパフォーマンスを発揮するための最短距離です。多くの一流と呼ばれるビジネスマンに共通する食習慣を紹介しましょう。意外にも、多くの方が正しいと思い込んでいたものは、実は誤りかもしれません。

■最高のパフォーマンスを手に入れる「減糖」習慣

 (1)主食という概念にとらわれない

 ごはん、パン、うどん、そば、ラーメン、そうめん、パスタ、ビーフン、春雨、小麦粉を徹底的にカットする。世界を見ても、主食という概念があるのは日本人ぐらいです。欧米では前菜、メインの区別があるだけでパンやライスは添え物です。

 「肉にしようか、魚にしようか、煮て食べるか、焼いて食べるか」。メインを起点に満足を得られる献立の選択をしてください。とはいえ、いきなり3食すべて主食抜きは心のブレーキを強めて逆戻りしてしまうので、まずは夜だけでも主食を抜いてみることから始めるといいでしょう。

 (2)動物性タンパク質を中心に

 摂取したいのは肉や魚などに含まれる必須アミノ酸、赤身肉を中心に摂取しましょう。牛肉、豚肉ならロースよりももも肉、ヒレ肉、鶏肉ならササミや胸肉です。高級な肉を選ぶ必要はまったくありません。豚肉からはビタミンB1、鶏肉からはビタミンB6、牛肉からは亜鉛霜降り肉は「糖」が含まれるのでNG。ハムやソーセージは製造過程でブドウ糖、果糖が加わるので避けましょう。

 魚介類では、サバ、イワシ、サンマなどにはエイコサペンタエン酸(以降、EPA)やドコサへキサエン酸(以下、DHA)が含まれています。細胞膜や赤血球の材料になり、血液をサラサラにし、脳の機能を高めます。貝類、甲殻類はコレステロールを減らし血圧や血糖値を下げるタウリンが含まれています。ただし、加工食品は避けてください。かまぼこ、ちくわ、はんぺんなどの練り製品にはでんぷんや砂糖などが含まれています。
野菜=健康的も注意

 (3)野菜・果物はほどほどに

 野菜=健康的のイメージは1回捨てましょう。そのイメージとは裏腹に、野菜にも糖質は含まれています。特に甘みのある根菜類には糖質がたっぷり、にんじん、ごぼう、れんこん、たまねぎ、カボチャ。考えてみると、これらの根菜が煮ると甘くなるのは、糖質がふんだんに入っているからです。同じく果物も、りんご、バナナにはそれぞれ多くの糖質が含まれています。果物に含まれている糖は「果糖」ですから中性脂肪になりやすいのです。

 もやし、アボガド、ハーブ、ほうれん草、小松菜、水菜などは推奨できますが、ビタミンやミネラルの摂取は、肉や魚から摂取したほうが効率的です。ビタミンAはウナギ、銀ダラから、ビタミンB12は牛レバーや牡蠣、ハマグリなどに含まれています。

 (4)卵、豆腐は安心して食べよう

 卵はビタミンC以外の栄養素のほとんどを含む完全栄養食品です。良質のタンパク質の宝庫で、必須アミノ酸もすべてそろっています。それでいて、糖質は1個あたり0.2gしかありませんから、1日に3~4個食べても問題ありません。

 卵と聞けばコレステロールを気にする方もいますが、血液中のコレステロールは肝臓で合成されるものが多く、食べ物からの影響はわずかです。最近ではコレステロール値が高いほうが健康には望ましいという研究結果もあるので、安心して卵を食べましょう。

 豆腐も卵と同じく、良質なタンパク源です。水抜きの後、細かくしてからフライパンで煎って「ソイライス」にすることもできますから、主食の代わりに使える使い勝手の良い食品です。しかし、同じ大豆由来の食品でも豆乳やおからはでんぷんが65%含まれ、糖質を多く摂取してしまいます。

■ブラックコーヒーも注意

 (5)「コーヒーはブラックならOK」は誤解

 飲料は、水、白湯、紅茶を中心に。甘いジュースは知ってのとおりどれも糖質が多く含まれています。缶コーヒーや炭酸飲料はもはや周知の事実ですが、砂糖なし、ミルクなしのブラックコーヒーも注意です。植物の種や葉をすりつぶして作る飲み物は、でんぷんがむき出しの状態で抽出されるので糖質が含まれています。お茶ならすりつぶさず葉っぱのままから抽出される緑茶か紅茶、ウーロン茶など発酵が進んだものにしてください。

 炭酸飲料はソーダ水ならよいのですが、炭酸そのものは胃を荒らし、消化力を低下させます。コンディションによっては白湯に変えることをおすすめします。「炭酸は体によい」と昨今話題になっていますが、体調を無視して飲み続けると消化力を落とし、肉や魚を食べることが苦しくなってしまいます。

 酒は糖質のない、焼酎やウイスキーなどの蒸留酒を選びます。もはや説明はいらないでしょうが、日本酒やワインなどには多くの糖質が含まれています。甘みの強いカクテルやサワーは当然NG。ビールは糖質ゼロを推奨しますが、できるだけ麦芽とホップだけを使ったビールが望ましいでしょう。コメやコーンスターチを原材料にしたビールは糖質だけでなく、遺伝子組み換え食品を使っているケースがあることにも留意しておくといいでしょう。

 とはいえ、糖をすべて敵のように見なしてしまうと、食生活に楽しさもなくなってしまいます。完全にシャットダウンするのも現実的に難しいでしょうから、このような知識を持ちつつも、適度な量だけ楽しみストレスにならない程度にやっていくことをお勧めします。完璧主義になりすぎることは逆にストレスをため込みますので、注意が必要です。

西脇 俊二
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最終更新:10月10日 6時0分

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